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次の日、登校すると沙耶がわたしのところへにやにやしながらやってきた。

「おっはよう、菜々花」

「おはよ」

「うふふ……」

「え、なに?」

「なにって、昨日の話聞きたいの」

荷物を下ろして椅子に座ったわたしを見下ろす沙耶は、瞳を輝かせていた。

「梶本くんと一緒に帰ったじゃん。どうだった?」

「えっと……たくさん話できて楽しかったよ」

「どこか行ったの?」

「ううん。わたしの降りる駅で一緒に降りて、近くのコンビニで飲み物買って、ちょっと遠回りしながらわたしのことを家まで送ってくれたの」

照れながら話すと、沙耶はわたしにぐっと寄った。

「それで!?」

「それで? それでって……それだけだけど……」

「え!? 何もしてないの!?」

沙耶の言葉に首をかしげたわたしだけれど、数秒してから意味をなんとなく理解して慌てた。

「ま、まだ付き合ったばかりなのに、そういうのはないよ!」

「いやあ、キスくらいさあ」

がっかりした感じで言う沙耶に対し、わたしは動揺。