「やっぱりいい」と、声をだそうとしたとき。

「手だせよ。繋ぎたいんだろ」

絢斗くんがそう言った。
わたしは顔を上げて彼を見る。

彼の手がわたしの方へ向かってきた。
わたしはゆっくりと手を持ち上げてみる。

そうしたら絢斗くんの手がわたしの手をしっかりと掴んだ。

胸の音がすごい。
体全体が震えるくらいの鼓動には、照れくささや嬉しい気持ち、絢斗くんにときめく気持ち、恋する想いがつまっている。

わたしより背の高い彼を見上げ、ぽうっと頬に熱をともした。

他の生徒に見られたりしたけれど、絢斗くんと手をつないで歩いているというどきどきした想いでいっぱで気にしなくなった。

学校から10分の駅までの道を歩いていく。
絢斗くんはわたしの歩幅に合わせてくれていた。

「こうやって二人で話したりすんの、はじめてだよな」

「うん、そうだよね」

文字ではたくさん色々なことを話したけれど、声に出してちゃんと話をするのは付き合ってからはじめてだ。

だからかな、結構緊張している。