大好きなきみと、初恋をもう一度。

いきなり好きですなんて言われたら誰だって困るよね。

わたしは俯いた。
恥ずかしさが倍になって、体が震えてくる。

顔の熱さで目元が潤んできて、唇を力いっぱいむすんだ。

沈黙。

もうだめだ。おわった。
どうしていきなり好きだなんて言ってしまったんだろう。

逃げだしたくなって、むすんでいた唇をほどいて口で息をしたとき、絢斗くんが声をだした。

「付き合う?」

「……へ?」

わたしは勢いよく顔をあげ、間の抜けた反応をしてしまった。

目の前の絢斗くんは、もう驚いていないし頬も赤くない。

真っ直ぐわたしを見つめている。

もちろん、付き合えたらいいなという気持ちはあったけど。

突然のわたしの告白だったのに、相手からそう聞いてもらえるなんて。

こんなに上手くいっていいのかな。

「はい……」

なんて考えていたのに、控えめに頷いている自分がいた。

「とりあえず名前教えて」

「広田菜々花……です」

やはり覚えていなかったんだ。
がっかりしたけれど、この展開に胸が鳴りっぱなしのわたしはそこまで気にしなかった。