連絡先は自分で聞くと言ったけれど、なかなか実行することができなかった。
こういうのは簡単にはいかないみたい。
絢斗くんが一人のときを狙おうと思っているのに、クラスが違う彼を見かけるときは大体休み時間や帰りの時間だったりするから、そばには友達がいた。
あっという間に一週間が過ぎる。
「やっぱりわたしが敦瑠に頼もうか?」と、沙耶に言われたけれど、全力で首を横に振った。
声をかけたい。でも、絢斗くんが一人のときを見つけられない。
彼の行動を気にしながらのもどかしい日々。
視線を向けていても気づかれない、思い出してもらえない切なさ。
その都度がっかりするのに、一度絢斗くんを意識した気持ちはどんどん強くなっていくのだから不思議。
九月半ばの金曜日。今日も話しかけることができずに一日が終わった。
なんだか放課後は隣のクラスを覗きに行く気分になれず、ゆっくりと帰り支度をする。
「菜々花、今日バイトだから先に帰るねっ」
沙耶は家の近くのコンビニでバイトをしている。
椅子に座るわたしは鞄を持ってそばを通っていった沙耶にうなずいて「ばいばい」と手を振った。
そして深く長い息を吐いて机にだらん、と伏せた。
こういうのは簡単にはいかないみたい。
絢斗くんが一人のときを狙おうと思っているのに、クラスが違う彼を見かけるときは大体休み時間や帰りの時間だったりするから、そばには友達がいた。
あっという間に一週間が過ぎる。
「やっぱりわたしが敦瑠に頼もうか?」と、沙耶に言われたけれど、全力で首を横に振った。
声をかけたい。でも、絢斗くんが一人のときを見つけられない。
彼の行動を気にしながらのもどかしい日々。
視線を向けていても気づかれない、思い出してもらえない切なさ。
その都度がっかりするのに、一度絢斗くんを意識した気持ちはどんどん強くなっていくのだから不思議。
九月半ばの金曜日。今日も話しかけることができずに一日が終わった。
なんだか放課後は隣のクラスを覗きに行く気分になれず、ゆっくりと帰り支度をする。
「菜々花、今日バイトだから先に帰るねっ」
沙耶は家の近くのコンビニでバイトをしている。
椅子に座るわたしは鞄を持ってそばを通っていった沙耶にうなずいて「ばいばい」と手を振った。
そして深く長い息を吐いて机にだらん、と伏せた。

