そう言った菜々花は、やはり恥ずかしいのか俺の胸に顔を隠した。

俺はふっと笑う。

「そうだな。菜々花はマジで特別だよ」

なんだよ。考えてることあまり変わらねぇじゃん。

お互い付き合ってるから、特別だから、独占できるものがある。

それがあれば、嫉妬の気持ちなんて本当、どうでもいいこと。

「菜々花」

名前を呼んだら菜々花が顔を上げたので、俺はそっと唇にキスをした。

「っ……!?」

驚いた菜々花は俺から離れて、周りをきょろきょろと見た。

大丈夫。人とすれ違わない時をちゃんと狙った。

「だ、だ、だれか見たかも!」

「見てねーよ」

「っ……、うう、もう、絢斗くん……」

恥ずかしそうに唇を結びながら、菜々花は俺の手を握ってきた。

それが可愛らしくて堪らなくて、俺はその手を握り返した。

「菜々花、家まで送ってく。だからもう少し、一緒にいよう」

「うんっ」


嬉しそうにうなずいてくれた菜々花を、これからも幸せな笑顔でいっぱいにしてやりたいと思う――


【番外編:END】