大好きなきみと、初恋をもう一度。

だって、敦瑠くんを通して連絡先を教えてほしいと言うことは、わたしの気持ちが敦瑠くんにも知られるかもしれない。

そういうのって恥ずかしい。絢斗くんのことが好きだと、彼のまわりで冷やかされたりしたら嫌。
だったら――

「じ、自分で聞くから大丈夫」

わたしがそう言うと、沙耶はにやにやしながらスマートフォンを机に置いた。

「まあ、自分で聞いた方がいいよねえ」

沙耶の顔を直視できないわたしは、お弁当のご飯をちょびちょび食べる。

それからも沙耶は楽しそうな声で絢斗くんのどういうところが好きなのかなど、休み時間にたっぷり聞いてきた。

話をするのに照れくさいものはあったけれど、結構盛り上がった。

五時間目は移動教室で、沙耶と教室を出たときにちょうど前から絢斗くんと敦瑠くんが歩いてきて、沙耶がこっそりひじでわたしをつついてきたのでうつむいた。

普段、そこまで恥ずかしがりやな性格というわけではないのだけど、やはり好きな人のことだったりするとなかなかいつも通りではいられない。

なんだか落ち着かない気分でしばらく過ごすことになった。