大好きなきみと、初恋をもう一度。

すっと宮下さんから離れた俺は、菜々花のもとへ水を持っていった。

「ご注文は?」

「あ、えっと、じゃあ塩ラーメンをひとつ」

菜々花は俺に微笑んでそう言った。

俺はうなずいて注文を調理場に伝える。

声をはって言うのはなかなか照れくさい。振り返って菜々花を見たら頬を緩めていたから余計だ。

なんだよ、って顔をしたら菜々花は口角を上げてほわほわした表情で見つめてくるから、なんかもう、はあ、俺を照れさせるなよ。

たまらず視線をそらしたとき、店のドアが開いて数人の喋る声が店内に響いた。

客だ、と顔を向けた俺は「げっ」と心の中で声を上げた。

店に入ってきたのは男三人組。どうしてこのタイミングで――

「おう、絢斗! ラーメン食いにきた!」

現れた敦瑠に俺は不機嫌な顔をした。

そんな俺を見た敦瑠は「ん?」と首をかしげて、その視線が店の中のカウンターにうつると、あっ、という顔をした。

「菜々花ちゃん!?」

「えっ、敦瑠くん?」

驚いた声を出してこちらを見ている菜々花のもとへ敦瑠は歩いていく。

その後に、敦瑠の地元の友達二人もついていった。