ピークの時は20人近くいたお客さんも今は3人だ。

厨房の店長や社員さんたちもほっとした様子で、俺もフロアから見えない店内の角に立ってため息を吐いた。

忙しいのは大変だけど、暇だと時間が過ぎるの遅いんだよな。

夜の閉店までそのまま通しで営業している店だから、この15時から17時がお客さんもまばら。

俺は各席の調味料や割り箸、水などの補充にまわり、再び暇なので角へ寄って立っていると、宮下さんが隣にやってきた。

宮下さんは結構チャラい。この前、バイト終わりに宮下さんよりも年上っぽい、車に乗った女の人が迎えに来ていた。

どうでもいいけど。

「あー、さっきの混みマジ疲れた。早く上がりてー。つうか、絢斗って彼女いんの?」

「……なんすか急に」

「いやさ、俺の女友達が男探しててさ。かっこいい男紹介してって頼まれたんだけど、みんな女いて無理で。じゃあ絢斗でいいかなって。結構カワイイよ? 16歳のお前からしたら、3歳年上のオネーサンとか最高だろ?」

「無理です。俺彼女いるから」

「なんだよ、いんのか」

宮下さんはつまらなそうに言ったあと、口許を緩めた。