【番外編:特別なこと】
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文化祭が終わって菜々花と改めて付き合いはじめて二週間。


「お前、菜々花ちゃんって子と付き合ってんだ?」

キッチンの冷蔵庫からお茶のペットボトルを取り出した俺は、ダイニングテーブルにそれを置いてリビングのソファーに座っている蒼斗を見た。

日曜で、両親は二人で買い物に出掛けている。

「この前部屋に電話しながら入っていって、相手のこと『菜々花』ってめっちゃ嬉しそうに呼んでただろ? 廊下にいて聞こえちゃった。あの感じは彼女だよな?」

にやにやしながらこちらを見て聞いてくる蒼斗に、俺は舌打ちをしたくなる。

いちいちうっせーな。

「彼女だよ」

「やっぱりな。つうか俺、その菜々花ちゃん知ってると思う」

「…………」

俺は眉をしかめながらコップにお茶をそそいだ。

「えーっと、広田菜々花ちゃん? 合ってる?」

「ああ」

「じゃあ俺知ってるよ、お前の彼女。夏祭りに絆創膏渡したのがその子だったから」

「……あっそ」

俺は素っ気ない声をだし、お茶を飲んだ。

そこら辺はもう充分わかってんだよ。

菜々花はお前と俺を勘違いしてたんだからな。