【あの日、好きになった君へ/エピローグ】




それから、わたしはどきどきの毎日を過ごしている。


「やっぱりさあ、菜々花には梶本くんがお似合いだよ」

文化祭が終わって一週間。

放課後の教室。

沙耶はにやにやしながらこちらを見ている。

照れ笑いを浮かべたわたしは、そっとうつむいた。

「沙耶。ありがとう」

「やだあ、菜々花。急に改まってなにー」

「だって、沙耶にはたくさん心配かけたし、話も聞いてもらったし」

「それはあたりまえでしょう? 友達なんだからさっ」

沙耶がにっ、と笑ったからわたしも頬を緩めた。

「あ、ほら、お迎えがきたよ」

気づいた沙耶はわたしの肩を叩いた。

教室のドアのほうへ視線を向けると、そこには絢斗くんが立っていて、こちらを見ている。

わたしは席を立ち、鞄を持って駆け寄った。

「帰ろ」

「うん!」

微笑むと、続いて沙耶がこちらにやってきて、絢斗くんの前にどしっと構えた。

「梶本くん。もう菜々花のこと泣かせないでよ?」

「ああ。わかってるよ」

絢斗くんはわたしを見て、唇の端を上げた。

沙耶も安心した表情でわたしに視線を向けた。

「じゃあね、沙耶」

「はーい、また明日ね」