そういう理由でよかった……。ほっとしたわたしは体の力を抜いた。

「菜々花。また、俺の彼女になってくれる?」

耳元で響いた絢斗くんの声に、震えるくらいどきどきした。

「うん。絢斗くんの彼女になりたい」

わたしがそう答えると、絢斗くんは体を離した。

「ありがとう……」

すっと、絢斗くんの右手がわたしの後頭部に触れた。

熱っぽい雰囲気に誘われるように、視線が絢斗くんの唇に向いてしまった。

期待しちゃう自分が恥ずかしい。

絢斗くんはその期待にしっかりと答えてわたしにキスをしてくれた。

「……誰か来たらどうしよう」

「した後に心配したってしょうがないだろ」

頬を真っ赤にしているわたしの額にコツン、と自分の額をくっつけた絢斗くんは小さく笑った。



窓の外の夕焼けはずっと同じものなのに、なぜか今はすごく優しいものに見えた――