「…あっちぃなぁ」
漕ぎなれた自転車で坂を一気に降りる。
ギラギラの太陽に照りつけられた肌も、
向かい風に晒されて息を吹き返す。
暑い暑いといっても
真夏の暑さは容赦なく続くわけで。
連なる大木が織り成す木漏れ日の間を縫いながらペダルを踏む。
高校初の、夏休みに入ったばかりの午前。
浜辺に沿って整備された道路をひたすらに走る。
「おぉ、陸~!」
「うおっ大樹兄ちゃん!?」
聞きなれた声で名前を呼ぶのは
海の家のマスター、大樹兄ちゃん。
25歳で、俺が小さい頃からよく遊んでもらっている、兄ちゃん。
「よっ」
大樹兄ちゃんは店周辺の掃除をしており
ごみ袋を持ったまま、こちらに大きく手を振った。
すでによく陽に焼けた顔で
笑うと白い歯がきらっとひかる。
