「失礼します」

謁見の間の扉を開けると如月家と国王が
向かい合っていた

国王は言葉を発せずに睦月に目配せをして、

自分の隣に座るように合図した

睦月も一礼してからソファーへ座った

「今日、あなた方を呼んだ理由はただ1つ
これからは少し仕事を咲希さんにも
やらせてあげてほしいのだ

我々もだいぶ年をとった
このままではいけないと思ったのだ

勿論重きをおいていることに関しては
引続き貴方にやってもらいたい
咲希さんには睦月にアドバイスを
してもらいたいのだ

やってくれるかね? 咲希さん」

咲希は自分までなぜ呼ばれたのかを
やっと気付いたものの、どうやって
反応すればいいのかがわからなかった

当主の顔をみた咲希は小さく首を縦に振り
わかりましたと言った


それでも本当に自分がいくら友達だからとはいえ
次期王女にアドバイスをしてもいいのか
すごく不安だった

その不安を読心術で読み取った国王は
そんなに心配しなくてもいい
友達にアドバイスしてると思えばいい、
と言ってくれた

咲希は多少安心したようでこの話を
聞く前のように落ち着いた顔をしていた


そのまま睦月と咲希は謁見の間を出た
これからは国王と当主の話だからと
言われたから


睦月は咲希を自室へと案内した

他愛もない会話をしたあと明日からの
3人での旅行について盛り上がっていた

程よく話も終わりかけた頃、ドア越しに
咲希の母親がそろそろ帰ると言ったので、
また明日、と睦月に言って母親と一緒に
帰っていった