私もホント馬鹿だな
こうなってみて初めて気付く
そう
もっと素直に
彼に向っていけばいいのに
なんて思う
目の前で蘭が圭介に文句を言う
ああ、私が原因だよね
泣き止まなきゃ
鞄の中からハンカチを探す
左手の薬指に
ハルから貰ったリング
机の上のライトが当たって
キラリと輝いた
新幹線ホームでのことを思い出す
抱きしめられたあの日の感触
今でも忘れられない
こんな自分捨ててしまいたいのは
私なのだ
あーやだやだ
本当に面倒くさい女
彼氏なら嫌になって当然だよ
もっと美人で
素敵な人が
ハルには似合う
そんなことまで考えちゃうよ
涙が後から後から湧いてくる
くっそー
圭介の奴
仕事が忙しいからって
八つ当たりして
ゆるさん!
我慢してた分だけ
気持ちが止まらなくなって
しまったのだった
しかも目の前でケンカする二人
喧嘩できるって
本当にいいな
なんて思ってしまった
一緒にいなきゃできないもん
お互いが大切だから
喧嘩もするんだよね
興味がなかったらしない
夫婦ゲンカは犬も食わないって言う
二人を心配する必要はなかったみたいだ

