「あ!徹くん!」

改札から出てきた瞬間 即座に呼びかけ
走り寄る。

「徹くん、お仕事お疲れ様!
今日もかっこいいね!」

あたしには構うことなく
家に向かって歩みを進める徹くん。

むしろ気づいてないのかってぐらいに
スルー。

でもそんなのはもうとっくに
慣れている。

「今日も暑かったねー。
これだから夏はキラーイ!
早く冬になればいいのにねえ?
徹くんは夏と冬どっちが好き?!」

「…別に」

「そっかあ、
徹くん秋生まれだもんね!
そっかそっかー!」

周りからしたら
え、会話になってなくない?
って思うんだろうけど、

あたしからしたら今日初めて
徹くんの声が聞けたことが
嬉しくてそんなこと気にならない。