右肩の蝶、飛んだ。


彼の足と足の間に跪くと、彼の左右の人ももに手を置いて、そして目を見ながらファスナーを口に咥えた。



次は、どっかの知らない可愛いモデルでも抱いてきたのだろうか。
それを私にチラつかせながら、強請るその行為は、私が彼を自由にさせているという証拠。
彼の行動を何処までも受け入れていると、彼に試させられている。

彼のその行為は、綺麗な羽で私を惑わせておいて、右肩にさえも留まってくれない、俺は君のものじゃないと言っているようだ。
でも、きっと、彼にとって、何も持ってない私は、彼のモノなんだ。

口に広がる苦みに目を閉じると、私の右肩に戯れのように蝶が留ったような気がした。
ただの、羽休めのためだけに。