開き直ってそう言うと、蝶矢は思いっきり振り返り、私は彼の右手に連れられて思いっきりベットに転がってしまった。
ベットに転がる私に謝りつつも、呆然と見下ろしてくる。
「なんで?」
「なんでって26にもなって処女って面倒でしょ」
「えっと、確かにそうかもだけど。でも、婚約者いるのに」
同意しやがった。でも唖然としてる。
直臣さんは、こんな私でも頑張ってくれたんだけどね。
濡れなかったから強要されなかった。イケナイことの様で体が強張った私は、きっと誰かに許可を貰わなきゃ悪いことはできない優等生なのか、この行為が気持ち悪いだけなのか。
「だから、無理矢理抱きたかったらどうぞ。濡れないけど」
「生々しいな」
蝶矢が、幼く見えた。年相応の、大学を卒業してまだ数年の初々しいサラリーマンに見えた。本来は、そんな道を辿っていたはずだったもんね。
「初めてが、昔の弟で、強姦だったら、ちょっと悲惨よね」
力なく笑うと、蝶矢は唇を尖らせた。



