右肩の蝶、飛んだ。



「いや、食事が済んだら、上のホテルへ連れ込まれる予定でこんな下着だったんだから見合いじゃなくて売られたのか。はは。美化しようとしてた。私、ただの道具だった。あんたにまで玩具にされちゃうような、道具だった」

手に握っていた下着を投げ捨てる。


「いいよ、契約でもなんでも破棄してもいいよ。だったら私はあの人からもアンタからもまた逃げる。また違う場所で擬態して――いつか羽化してやるんだから」

また飛び出そう。
もう携帯もいらない。
お財布だけ手にして、どこでも良いから電車に飛び乗って消えてやる。


「……行かせないよ」

「離して!」

「――やっと見つけたのに、もうずっと此処に居て下さい。胡蝶」