これを穿いた私は、『女』を曝け出してしまいそうで気持ち悪い。
気持ち悪い。
急いで蛇口を捻って、込み上げてきたものを吐き出す。
胃液が喉を焼き、足を痺れさせて、全身を震えさせても止まらない。
救いようのない、現実。
そうだ。私が生きているのはそんな救いようのない、つまらない世界だ。
私だけ逃げ出したところで、まだ蝶矢はあの時の傷が燻っている。
私の中にさえ、消えない。
ノックされても、吐いて身体が痺れた私は声を発するのさえ億劫だった。
「遅いですけど、怖じ気づきましたか――」
開けた蝶矢の、引きつった顔に溜飲が下がった。
私を辱めたかったくせに、そんな顔されたら思わず笑みが零れてしまう。
「あんたも、一緒だよ」
思わず、笑ってしまう。
「私があの義母から逃げだしたのは、こんな似合わない下着を着せられて、お父さんよりも二周りは年上の男と見合いされそうになった日だった」
馬鹿みたい。馬鹿みたいだ。



