「それは」
今日のランチの時に、店長が無理矢理カバンに入れたプレゼントだ。
私のトラウマを引き出す黒のランジェリー。
私の慌てた反応に、蝶矢はソレを紙袋から取り出すと、唇を歪ませる。
「こんなの着て、あの婚約者に見せてるんですか? 貴方の趣味? 向こう?」
「か、返して」
「良い男でしたもんね。優しい、――優しいだけの良い男。此処までしなくちゃ貴方なんかが手に入るわけなさそうな良い男」
それは違う――。と叫びたかった。
こんな下着処か、まだ身体の関係さえないのに。
でも、店長が26にもなって処女はもう邪魔でしかないと吐き捨てていたのが頭を掠めて言葉を吐き出せなくなる。
怖くなる。
擬態が出来ていないじゃないかって、馬鹿にされてしまう。
「着てみせてくださいよ」
私が目をぎゅっと閉じて声を飲み込んだのに、蝶矢は信じられない言葉を吐く。
「ソレ着て、俺にも誘って下さい」



