『もし俺が胡蝶に間違えて傷を付けたら、責任とってお嫁さんにしてあげるから』
傷をつけて、飛べない様にして、閉じ込める。
彼は、そう笑った。
壊れた蝶を見ようともせず、私の頬に甘く爪を立てた。
あの夜の蝶矢が私の脳裏に貼りついて離れていない。
あの日以来、さらに私は蝶矢に冷たくなった。
なのに、私は。
私は頬を何度も何度も朝、眺める。
今日も傷はついていない。
今日も付いていない。今日も。今日も。
でもあの日、心に爪を立てられて、その傷を隠すのに何度も何度もファンデを塗っている。
最悪だ。最悪。私は蝶矢を利用して上辺だけ接して。
蝶矢が居なくなると自分の身だけを案じたのだから。



