右肩の蝶、飛んだ。


「東京の、凛子さんの知り合いや顔が効くところの挨拶回り兼営業。こっちでの発注や、凛子さん自身に来てる依頼とか色々照らし合わせなきゃいけなくて」
「纏めの時期か」

納期を決めて作業をしなければ、手縫いする箇所が多すぎるオーダードレスなので時間配分が難しくなるもんね。


「日田の今日のホテルは、そのまま胡蝶に任せてしまうかもしれないけど、ウエディングのほうは女将さんと連絡すれば大丈夫……だよね?」

「あっ」

日田の蝶矢のホテルは、できれば私はノータッチで居たかった。
特に、蝶矢とは今さら積もる話なんてないし、過去の事を忘れたいし無かったことにしたい私には――嫌な案件過ぎる。

でも、忙しい直臣さんに私情で迷惑をかけたくなんてない。


「大丈夫です。厳しそうな女将さんだから、ドキドキしますけど」

「芯が強い女性は美しい。大丈夫だよ、君の考えはしっかりしてるから」