「店長」
「何よ、売れ残り」
「今日ね、義弟を見たの。取引先のオーナーだった」
「……凄い欲しの巡り合わせね」
店長が、生ハムと玉ねぎのカルパッチョを私の目の前に置いてくれた。
お腹は、まだまだポテトで一杯だったけれど、一口その酸っぱくて甘い味に齧り付く。
「義弟くんは、まだ義母さんの元にいるの?」
「ううん。義弟は、私が引っ越すときに、父方の親戚に引き取られた……はず。父親が前の旦那さんだって、うちの父にばれちゃって、義母が離婚が怖くて捨てちゃったの。義弟を」
義弟は、最初から私と血が繋がらないと知っていたのかもしれない。
「義弟が居た時は、義母は義弟にだけ冷たくて酷い仕打ちばかりしてた。ご飯をあげないとか、家に入れないとか、服を洗わないとか――平手打ちで叩いたり」
「本当に最低な親ね」



