「そーよ。下着で雰囲気変えなさいよ。あんたみたいに普段からだっさい感じの子は、黒の下着にガーターベルトってギャップが良いわね。ぷぷぷぷ。処女が黒の下着ってウケるわ。最高よ!」
「わ、私で遊ばないでください!」
あの夜、変態じじいにホテルの部屋をとっていると言われた夜、母親に命令されて着た下着だ。
あれから黒の下着を見るのも身体が震えるって言うのに、着れるわけがない。
「いい加減、どうするのよ。セックスできないなら――この先、愛情に迷っても寂しさが言葉に出来なくても、身体が繋がらないなら急激に気持ちは離れていくわよ」
「キスとか、口とかしたことあるし!」
「そーゆう問題じゃないの」
今度は頭をぺしゃりと叩かれた。
不意打ちで、思わず涙が出てしまい、頭を撫でながら外の直臣さんに視線を映す。
まだ――電話している。
あんなに、笑顔で誰と? 電話越しなら笑う必要無いのに。



