右肩の蝶、飛んだ。




「あら、いらっしゃい。二人で来るって事は――今日は成功だったのね」
右耳のチェーンピアスがカチャカチャと音を立てて、その男の人は私たちの方へ振り向いた。

「うん。一応、全種類の仮契約は貰ったよ。俺、生」
「電車の中でスパイシーOJポテト、スーパーカップ食べたらお腹一杯になっちゃった。店長、私はアルコール低いカクテル作ってー」
「それって、もうジュースでいいんじゃないかしら」

呆れながらも、男らしくバーテンダーの格好で女性の様な上品な喋り方で店長は何かカクテルを作りだした。

一見、切れ長のスッとした目に、色素の薄い茶色の髪、身に付けている小物のお洒落な雰囲気からして、モテそうなんだけど、本人は女の子にもてるのが嫌いらしくてオカマみたいな喋り方をする。