ヒステリックで、常に苛々している義母を、私は怒らせるのが怖くていつも機嫌を伺っていた。
良い子で、言いつけを逆らう事もなく、バイトのお金も全額義母に渡してきたし、就職先も義母が用意するから就活するなと言われて、従っていた。


でも、この先、このおじいさんと呼ぶ歳の人と結婚して私に何が残ると言うのだろうか。私の人生は一体何だったのか、何が意味があったのか、誰の為の人生なのか。

若かった私は、一瞬で、今まで蓄積していた気持ちが溢れて涙が止まらなくなって、気づけば馬鹿みたいに笑っていた。

笑い疲れた私は、別府駅までタクシーで向かい、そのまま福岡行きに飛び乗った。
その日、私のバイト代七万を手渡しで貰っていたけれど、義母は珍しく言って来なかったので、それだけを持って福岡へ向かった。


終点の小倉駅で降りて、ふらふらと小さな路地を歩いていたら、――その店を見つけた。

煉瓦作りの、店の前に色んなハーブが植えられている小さなBARに、吸い込まれるように入っていった。