仕事中の、今から営業する人間としてのコメントとすればきっと完璧な答えだと思う。
彼も満足そうに頷いてくれた。
「遅くなってすいません」
ノックされ入ってきた蝶矢と、着物姿の年配の女性。
電話で、呆れながらも来れば良いと言ってくれたのか、きっと彼女だ。
蝶矢が四人分の珈琲を置くと、彼女は優しくまるで菩薩のような温かい雰囲気で私たちを迎え入れてくれた。
「お話はオーナーからお聞きしました。どうぞお掛けになって下さい」
「ありがとうございます」
「ねえ……美崎さんは、ミルク二個と砂糖2本置いておくね。珈琲苦手だろ? そちらの美崎さんは大丈夫かな」
「あ、ありがとうございます」
珈琲が苦手だと覚えていてくれている。
でも、私もこの年になったので、当たり障りなく飲めるようになっている。
嫌いなままだけれども、飲めないわけではない。
「蝶矢って素敵な名前ですよね」



