右肩の蝶、飛んだ。

「その下着、まだカバンの中に入れていたのね」
「うん。克服するにはきっと今がチャンスだと思う」
そう言ってカバンをベットへ放り投げると、スカートのフックを外してファスナーを下ろした。

「……下から脱ごうとしてる?」
「うん?」
「ムードの分からない子ね。まあ、初心者だから仕方ないか」
「うん。分からない」
ジュッと乱暴に煙草が消された。

「馬鹿ね。――貴方って」

店長は笑うと、私の腕を引き寄せそのままベットへ優しく突き飛ばした。
「教えてあげる。背伸びしたい貴方に」

せせら笑うように言うくせに、店長の指先は優しくて、私は静かに目を閉じた。
直臣さんの時に、どんなに優しくされても、どんなに丁寧な愛撫をされても感じることができなかった。
それは、私が心にバリアーを張っていて、右肩の蝶を見ないふりしたから。