右肩の蝶、飛んだ。

この紫を基調とした部屋に、直臣さんと社長が溶け込んでいて、私が一人、アメジストの指輪以外浮き出てしまっていたこと。

彼女は一人で生きていると、強い女だと自分で笑っていたけれど、それは違うよ。
影で直臣さんが貴方を守ってるんだから。

「胡蝶?」
「辞めよう。結婚、辞めよう」

ぽとりと花弁が落ちる様にそう言うと、直臣さんは一瞬固まったけれど、力なく笑った。

「どうしたの? 何が嫌だった?」
「2番目同士で結婚しても、その愛情じゃ枯渇した心は埋まらないってこと」
「胡蝶?」
「閉じ込めてくれてたら良かったのに。貴方の理想通り、誰にも見せないで閉じ込めてくれていたら、私きっと結婚してた」

『欲しいなら捕まえて――閉じ込めちゃおうかな』
それが正解だった。東京まで来て、直臣さんの本命を見せつけられたら、逃げることしか浮かばない。