二人が談笑する中、ひゅっと変な息を吐く。
彼だーー。
この日田の地で、6年間だけ共に過ごして、利用した彼だ。
「え、25歳とお若いのにホテル『月光』のオーナー?」
直臣さんが目を丸くする。直臣さんより七歳も年下なのに、どちらが年上か私でさえ分からない。
「後継ぎが居なくて――父方の親戚とは疎遠だったのに声が掛ったのは本当に大学を卒業する時期でした」
「卒業してすぐにこのホテルを?」
「いえ。今年からオーナーです。入社して三年ほど勉強してましたが、祖母が亡くなりまして」
私が12歳でこの地を去ってからの、蝶矢の足取りが全然見えない。
けれど、大学には行かせてもらえたんだ。



