右肩の蝶、飛んだ。






会場を、様々な会社が撤退し、契約の書類などをウエディングプランナーと確認、打ち合わせをする中、私だけはさっさとテーブルとイスを片付けて退散する。

受付で女将さんの居場所だけ聞いたけれど、ホテルの知り合いの飲み会の席に同席しているらしく抜けられないらしい。

ホッとしたような、挨拶をしないまま出て行くのが怖い様な。

仕方なく、蝶矢に形だけ挨拶して退散しようと思った時だった。

「まだ片づけ終わってないの? 超遅くない? ってか、珈琲頂戴」

受付の奥から――昨日の彼女。

蝶矢の婚約者が腕を組みながら不満たらたらで出てきた。


指定されている化粧よりもやや上品さに欠ける派手なアイメイクに、むせかえるような香水。

受付の隣には、ブライダルの打ち合わせ用に小さなカフェがあるのだが、そこに顔だけ出して偉そうに言っている。

何から何まで人を不快にするふてぶてしさだ。


が、さっき泣いていた受付嬢と、慰めていた女子社員達が目配せし口角を上げた。


「美崎さん、これから皆で親睦会として飲みに行くんですがご一緒しませんか?」