右肩の蝶、飛んだ。


言っていいのか躊躇う。
けれど、言わなければ、折角擬態して綺麗に成長した蝶矢が可哀想だった。


「義母に似てるから、止めた方がいいんじゃないかな」

似てる云々の前に、蝶矢も気づいているだろうからこんな険悪なんだろうけど。

「綺麗な花には、毒があるっていうじゃない!?」


「綺麗な薔薇には刺がある、です。知ってるよ。自分勝手で自分を飾りたてるのが好きで、プライドが高くて周りを見下して。碌な女じゃない」


「そっか」


「お互いが一番お互いを良く分かってると思わない? 美崎さん」


蝶矢が笑いもせずにそう告げる。

一ミリも表情が変わらないってどういう事よ。


「取り合えず、今日ご飯行きません?」

「行きません」

「取り付く島もない感じ、最低です」

こんな時だけ子供っぽく拗ねる感じ、凶悪です。


「美崎さんだって、さっきの保護者ぶってる人の傍を離れたくないから、あの優しいだけの男にしがみ付いてるんじゃないの」

「店長に?」


「あんな人が此処まで乗り込んできたら愛を感じちゃうじゃん。分かってくれる人が居るなら、――あの人との結婚もういいかって、美崎さん妥協しそう」