「それ、俺ともこの距離が良いって言ってるの?」
「うん。お互い婚約者が居て幸せ、めでたしめでたし」
そう笑うのに、お互いの顔が幸せそうに見えなくて笑顔が堅くなっていく。
「余計なお世話かもしれないけど、蝶矢の婚約者って気が強い? ブランド品大好き? 自分の為にお金を躊躇なく使う人?」
私の質問に、蝶矢は溜息を零す。
「そうだね。でも俺は認めていない。勝手に向こうと女将だけが盛り上がっている。まず俺に意見なんて聞かないから」
「そうですねって、全部そうですね?」
「はい。お姫様の様に、――不自由なく育ってきた人なんじゃないですか? 興味ないよ、あのわがまま女」
「辛辣・・・・・・」
本当にどこにいるのか辺りを探しまわっても昨日の綺麗な人は見当たらない。
でも、確かに。
蝶よ花よと育てられた人が、接客なんてしそうにないよね。
「余計なお世話だけど、それってちょっとさ」



