右肩の蝶、飛んだ。


「そう。……うちの蝶矢も別府のホテルのお嬢さんと縁談を進めて要ります。あちらのお嬢さんも今はうちのホテルの手伝いに来て下さってますから失礼ないようお願いしますね」

どうやら彼女の満足のいく答えをしたようだ。


可哀想に。

せっかく私よりいい暮らしに良い環境に、――恵まれた世界で擬態出来ているのに。

その世界で蝶矢を縛りつけようとしているこの人は、悪質な癌でしかない。

「分かりました。なるべく逢わないようにも気を付けますね」

どうやら私と蝶矢は、大きく道を逸れていたらしい。

これ以上近寄ったら、――自分の道を見失ってしまう。

何も手元に残らなけらば、何の為に擬態しているのか分からなくなる。


これ以上交わらないように、良く末を違わないようにしないと。