「此処で結婚式挙げられたら素敵でしょうね」
蝶矢ならきっと上手く出来ると思う。
上手く、――世渡りできそうだもの。
「貴方にも、――あの子にもお相手が居るってことは皆が知っている周知の事実だと思ってもいいのよね?」
ぴしゃりと言われて、私もついつい大きく背筋をぴんと伸ばしてしまった。
なるほど。
この人には、蝶矢の心の葛藤が手に取るように分かってるんだ。
「お付き合いしてるはずなのに、なかなか煮え切らない態度でおかしいと思った矢先に無理矢理に貴方の所と契約進めるのですもの」
ただ――凛子さんは知らない。私と蝶矢が家族だった時期があるのを知らない。
でも簡単に調べれば分かることでもある。
息を飲む私に、彼女は意味深で妖艶な笑みを浮かべた。
「私は、先日一緒に来ました美崎 直臣さんと正式に婚約しています」
薬指に光るアメジストの埋め込まれた指輪を見せる。
私に蝶矢とどうかなる意思がないことははっきりしておきたい。
ただ――兄弟だった時期があることは言いたくない。
あの義母に今さら発見されても連れて帰られる年齢でも容姿でもないけど。
関わりを一切持ちたくない。



