「大丈夫です。こちらこそ急に知人が来てしまい申し訳ありません」
「いいのよう。熱心に見て下さってこちらも嬉しいです。どうぞ観光祭にでもごゆっくり泊まりに来ていただきたいわ」
来年の観光祭の話までして――長く付き合いたいと暗に言っているような気がしてやっぱり警戒してしまう。
こちらは、長く付き合ってあげてもいいのよと上から目線。
「この式場の運営が落ち付いたら、あの子にも身の周りを固めてしっかりした道を歩んで欲しいと思っています」
凛子さんは、真っ直ぐに私を見た。
凛と背筋を伸ばし、重い伝統を身に纏い、ホテルを守る立場として。
「蝶矢――いえ、オーナーさんのご結婚って事ですね」
「そうです。あの子の母親は駄目でした。なんになに育てられて真っ当に育っているのかも謎でしたが――引き取って良かったです、あの子は父親の血を少しは受け継いでいてくれてるわ」



