「違う? 私が拾ったんだから、私の子よ」
店長は意味深な、――妖しい笑顔を送ると、蝶矢を見た。
「綺麗な顔だな。でも、あんまこの子を必要以上に呼び出すなって言っとこうかな。今さらめちゃくちゃにすんなよ。婚約の挨拶が遅れて、この子も直臣も迷惑してるから、まじで」
「店長?」
店長が――いつものわざとらしいオカマ口調を脱ぎ去って、満面の笑みを浮かべる。
長い脚を組み変えて、挑発的に。
「仕事は大歓迎だけどさ。私情挟むのは、ガキだって言っとく。今さらだろ。この子拾って此処まで立ち直るの、ずっと見てきたから言わせてもらうけど。
――お前ら二人じゃ、幸せな恋愛とか無理だから」
「ちょっと、店長。店長ってば」
低い声で、ちょっとだけボリュームが気になった。
離れているとは言え、両側のテーブルには、幸せな結婚式の準備でこのホテルにやってきたカップルが座っているのだから。
「ちょ、――と。ちょっと、店長、外に出よう。煙草、煙草吸っていい場所まで散歩しましょ」



