右肩の蝶、飛んだ。



「む!?」

「直臣は優しいから、貴方を無理矢理どうこうしないわよ。だから私が、貴方をどうこうしてあげようかなって」


「――や、えーっと店長、私抱けるの?」

「私は誰でも。無理でも枕に顔押し付けてれば、芸能人の顔でも想像して出来るわ」

・・・・・・それはそれで最低な気がするのですが。

店長みたいに、善も悪も理解してモラルだって常識だって分かっているのに、

それが人間的に悪いことでも踏み込めるのは――覚悟があるから。



私は逃げて、都合が悪くなったり苦しくなったらまた逃げるだけ。



「とろとろに溶けて、蜜を流したら――その香りに連れられて蝶がやって来るかもしれないわね」

「蝶が――」


新婦のお色直ししたカラードレスはAドレスの蝶の形の刺繍とスパンコールが縫い込まれた、うちの代表的なデザイン。



留ることもできなくてさ迷う蝶が、香に騙されてやっと留ることが出来る?