右肩の蝶、飛んだ。




「おめでとうございます。こちらへどうぞ」

「本日は見学でしょうか。模擬結婚式の見学でしょうか」



やってきたカップル一組ずつに、一人のブライダルプランナーが案内していく。

ホテルにやってきたカップルを次々教会へ案内する中、私はテントの下で関係者用のネームプレートをして一番後ろで立っている。

今すぐ雨が降って来そうなどんよりした空。

見学に来たカップルもポツンポツンと少なめだった。


日田自体、若者が福岡とかの県外へ行ってしまうから少ないと思う。

私だって、山に囲まれた此処よりも福岡のほうが便利だし好きだし。

スタッフの方が多い。結局10組のカップルがテントの下でモデルの花嫁役を待っている。

10組でもこのうち何組が本当にここで結婚式を挙げるのか分からないのに。

そのうち、うちのドレスを着たいと思ってくれる人ってどれぐらい居るんだろう。


「わああ。超可愛いわねえ」

一番後ろで見ていた私に、くねくねした声で話しかけてきたのは――。


「!?」