痴話喧嘩が始まってしまい、仕方なくチューハイを一本買うとそそくさと蝶矢の死角から逃げようとそろそろ動く。
私に夜ご飯誘って来た癖に、こんな普通に可愛い女の子と車でデートしてたわけか。
蝶矢は、私とは違ってちゃんと普通の恋愛をしているんだ。
蝶くんなんて親しげに呼ばれて――お互いラフな会話は気心がしれている雰囲気だ。
「彼女は特別なんです」
「恋人は居ないっていってたよねー?」
「好きな人はいるかは聞いて来なかったでしょ?」
蝶矢の『好きな人』という言葉に、その女性は舌ったらずな喋り方を止めて蝶矢を睨みだす。
「私、取引先の相手だから特別なだけですよ!」
長引きそうな痴話県奈にチャチャだけいれると、ホテルへ全力疾走した。
まさかまさか、コンビニで貧相な夜ご飯を買っているのを目撃されるとは思わなかった。
蝶矢は私が三人組の男に絡まれてると思って車を端に止めてやって来て、面倒くさい女の面倒くさい喧嘩に発展してしまっただけ。
彼女から感じた視線は、冷たかった。
明らかに、自分より劣っている者に蝶矢が時間を掛けているのが許せなさそうな。
彼女は蝶矢の何なんだろうか。
送って貰えるぐらい大事な相手だとすれば、蝶矢は私なんて早くふっきればいいのに。



