流石、迷信を信じる年齢の店長の言葉に思わず口が歪んでしまう。
「でも、一生着れないよりは記念的に着れたら楽しいんじゃない? 着れないことはなさそうな綺麗な子だったけど」
『貴方って。自分でドレス作ってるくせに本当に可哀想になるぐらい花嫁姿が想像つかない子ね。貴方ももうすぐ着る権利ができるのよ』
「権利じゃなくて義務なら良かった」
『やあね。可愛げない台詞』
「蝶矢がね、可愛い女の子と話してたり笑ってたら、肩の荷がちょっと軽くなるの。ちょっとだけね。止まってた蝶が飛び立ったぐらい軽く」
『その例え、超意味分かんない』
超と蝶を掛けてるんだろう店長の言葉を、曇った夜の空を見ながら黙って聞く。
「皆、私の事を忘れてくれないかな」
薄暗い雲の中、私を覆い隠してくれないだろうか。
『なんていうんですっけ、中二病? 貴方今頃拗らせてるなんて本当に人間て幼少期の人格形成が大事ってしみじみ思っちゃう』



