「来週って、東京の出張もあるよね」
「被るなら、――また二人で分担だよ」
落胆する直臣さんに首を傾げる。
ドレスがまだプランもなにも考えてないカップルの前で披露できる上に、手作りウエディングドレスもプッシュされて、会社的には万々歳のはず。
「私、日田でも我慢しますよ」
「俺が我慢できないよ。このまま何回も延期したり伸ばしたりとタイミングを逃すと上手くいかなくなるじゃないか」
「あは。私を社長に紹介する件ね」
鉄は熱いうちに打てと言う様に、私が冷静にならないうちにさっさと手を打ってしまいたかったらしい。
こんなに偶然に用事が被るなんて確かにおかしい。
私に冷静になれと神からの執行猶予だ。きっと。
それか蝶矢に盗聴器でも持たされたのかとこのタイミングを疑いたくなる。
念のためカバンを漁ると、――着信履歴が数件残っていた。



