『…ここから逃げ出したい…
ううん、
逃げたさないとまずい気がする。』
ミンスは私に
「ナオト様とカナト様のところへ
報告を頼まれました。
…ユリ姫様、
側に居られなくて申し訳ありません。
…カナト様には、
吸血のことも伝えてきます故(ゆえ)。」
と言って小走りに廊下を通っていった。
────この時私は
父上と母上が考えていることを
全く知らなかったし、
ましてや
予想も出来なかった。
思い返せば、愚かにも私は
『父上と母上が群青の城の者として
治めてもらわなければ困る。』
と、私を嫌いな癖に(くせに)
言われたとしても
絶対に逃げてやる、
そう思っていた。
でも、
父上の口から出た言葉は
信じられないものだった。
────《やはり、ユリは
群青の城の者ではなかったのだ。
もはやこの城の第一王女はユリなどと言うものではなく、今誕生したユアである!!》


