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今日の早朝に母さんに送られて、家に帰った。


母さんが家を見ていった言葉は、「久しぶりね〜。変わらないのね…あの時と。」


当たり前だ。


母さんが家に帰ってこないのは、兄さんがいない家に恐怖を覚えてるから。


今日のかあさんは優しくて、学校まで送ってくれた。


「ありがとう。お母様。」


「いいのいいのー。…あとさ、優笑ちゃん?」


母さんが私を呼び止めるのは、初めてだ。


「なに?」


「母さんのこと、母さんって呼んでいいのよ?父さんは、あんな性格なひとだけど…母さん、王子がいない現実、頑張って受け止めるから。」


…母さんも、頑張ってたんだね。


「ありがとう、…母さん。」


満足そうな母さん。


母さんとは、歩み寄れるかもしれない。


私は学校へ歩き出した。


「守ってあげられなくて、ごめんね。気付いてあげられなくて、ごめんね。」


え!


母さんの車に、振り返る。


そこに、もう車はなかった。