気になる!

そう言って、昨日の様に本に顔を近付け、息を
吸い込み吐き出した。
目を閉じ、恍惚の表情をうかべる。


…うわ…。ホンモノだ…。筋金入りだ…。


すでにドン引きである。
美鶴はこの場から逃げ出したくなってきた。


「油断してた。まさか見られるとは。」


ピシャッ!と小気味良い音を立てて凌は本を
閉じた。


「どうしてくれんの?」


「…え?」


初めて見た笑顔は凍りつく様な笑顔だった。
目が笑ってない。
美鶴は固まる。蛇に睨まれた蛙だった。


「い…っ、言わない!誰にも!」


「ホント?って信じるほど俺もお人好し
じゃないし、篠田さんは信用するに足る
人物とは限らないし。」


本を戻した手は、そのまま書架に肘をつく形で
前のめりに体重を預ける。
美鶴に凌の影が覆い被さる。
近い。


美鶴はみぞおちに汗が一筋落ちていったのを
感じた。