「今からじゃなくていいんだ。試しでもいい。だってまだ、杉崎の中には、……認めたくないけど、先輩がいるだろ?」
「李雨、先輩……。」
「うん、そう。だから、試し。」
た、めし……?
その言葉に、少しの疑問を覚える。
「んーと、だから。俺が、李雨先輩の事を忘れさせてあげるって事。」
笑いながらそういう栗生くんは、「どう?」と首をかしげた。
「んー……」
確かに、先輩には七瀬さんがいる。
しかも、付き合ってる。
先輩は、私の事なんて覚えてないし、もう好きでもない。
だったら、忘れさせてもらった方が……、楽だ。
だけど……、
「ごめん。」
忘れたくないの。
先輩を好きだった気持ちも、何もかも。
先輩が忘れたんだったら尚更。
「んー、ヤダ。」
「へ!?」
思いもしなかった返事に、ポカンと口を開く。



