その時だった。
「ニャア〜、ニャア〜…」
道路の方から、そんなか細い猫の声が聞こえたのだ。
俺は、その猫を目で探す。
……いた、アイツだ。
道路のど真ん中で、一匹、直立していた。
もともとは白であろう毛は真っ黒に染まっている。
……それに、とても小さい。
__________子猫だ。
そして、……
その猫の下に、その猫より、もう一回り大きい猫が横たわっていたのだ。
横たわっている理由。
それは、一目瞭然だった。
……死んでるんだ。
あの猫たちは、きっと親子なんだ。
あの子猫は、あの親猫が死んだ悲しみであそこに突っ立ってるんだ。