百合ちゃんは、それでも申し訳なさそうにしていたが、ようやく切り出した。



「魔法少女――苺花ちゃんも、知ってるよね?ほら、小さい頃にアニメとかで見たりしなかった?」



――それは、分かる。

確かにまだ小学校の低学年位までは可愛らしい魔法少女達が活躍するアニメを毎週朝、わざわざ早起きして観ていたと思う。

誰だってそうだっただろう。


テレビの中の魔法少女達は、可憐で、麗しく、常に思いやりに溢れていて、大層憧れた物だった。


よく友達と魔法少女ごっこをして遊んだりもしたのだった。


でも、中学年にもなると、『魔法少女』を好きだという事が恥ずかしく思え、何時しか忘れてしまうのだ。


もう記憶の奥底に埋もれ、懐かしい思い出になってしまった『魔法少女』



そして今百合ちゃんは自分の口ではっきりと言ったのだった。


“私は魔法少女だ”と。



それも、『自分』だけではなく、『私達』
と、言った。


それが何を意味するかなんて、流石の私だも分かる。


マリア先輩は、テレパシーの『魔法』を使う。
百合ちゃんはそうも言った。


つまり、だ。


『私達』とは当然マリア先輩を含めての『私達』という事になるのだろう。

改まって言わなくても分かることだ。


何を知っているのだろう。

百合ちゃんとマリア先輩。
それに双子のノアちゃんとトアちゃん。



きっと私の知らない、とても重要な何かを知っているのだと思う。