くるくると反転する世界の中、一人の少女が佇んでいた。

目眩がするような、目まぐるしい世界。



そんな中、その少女は、いつまでも変わりゆく世界を見つめていた…



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春、一ノ瀬 苺花(いちのせ いちか)は雅桜女子中学校の入学式に参加していた。

「うぅ~、知っている人誰もいない…」

中学校に上がると同時に、苺花は町の中心部に引っ越しをしたのだ。


苺花の家庭は母子家庭で、母親はいつも仕事が忙しく、ほぼ家にいない。
そしてこの春、仕事の都合で母親が海外に行くことになったのだ。


苺花と妹の双葉は日本に残り、二人暮らしをする事になった。

苺花は比較的大人しい方で、言葉の通じない国でやっていけるのか、心配だった。と言うのがおおよその理由だ。


妹も、苺花が残るのなら私も、という事らしい。

まだ中学1年生と小学6年生の娘達が、二人暮らしをするというのだから、母親も少なからず心配していただろうが、必死の説得のもと、なんとか了承を得た。



あぁ、やっぱりなんだか不安になってきた…

友達できるかな…
ていうか、もう帰りたい……


入学早々弱気になっていた苺花は、小学校の頃の友達の事を思いだしていた。


ふうちゃん、なっちゃん、会いたいよぅ…

一緒の学校に行けたら、どんなに良かったか…


今はマンションに住んでいる。


前の友達と一緒の学校の区域には、安いマンションの空きがなく、今のマンションに住む事になったのだった。


友達がそこまで多くない苺花にとって、
ふうちゃんとなっちゃんは、本当に天使のような存在だ。