朝9時、


眠たい目を擦りながら時計を見る

『...ん、今何時だ...?』


遅刻確実なこの時間に起きるのは、別に稀なことでもない。


一人ぼっちの部屋で小さな溜息をつく。


少し伸びた茶色い髪を黒いゴムで一括りにまとめ、顔を洗う。


『...おはよう』


もちろん返事なんて返ってこない


父親は俺が幼い頃に母を捨て違う女とのうのうと生きている


母は父親が去った数日後に事故死



んでもって兄弟なんていなかったから


今は一人暮らしをしてる


それから再び大きなあくびをして、朝食を作り始める


パンをきつね色になるくらいまで焼いてコーヒーをいれる。


そんな何でもない日常風景に

少しだけ、少しだけだけど飽きを感じてくる




一人ぼっちの朝食にももう、慣れっこだ



そんなこんなで朝食を取り終わると


制服に腕を通す


息苦しいネクタイを緩め、だぶだぶのセーターを着て通学カバンを適当に持つ



そうしてやっと俺は家を出る


若干口笛を吹きながら、道行く人に気まぐれに挨拶をする



遅刻してることなんて忘れて堂々と歩く